コロナ禍で浮き彫りとなった「ファン化」の重要性

テイクアウトの頂点を極めた業界のプロが語るwithコロナを生き抜く術とは
~株式会社ダイニングイノベーション 寿司 あおい 様~

 「寿司あおい」は2019年12月に1店舗目をオープンした新ブランドながら、板前が握る本格的な寿司がリーズナブルに頂けるというこれまでにないコンセプトが評判となり既に多くの支持を集めている。
 コロナ禍において多くの飲食店がテイクアウトや持ち帰り、デリバリーを開始し試行錯誤と格闘する中、同店はEPARKテイクアウトに加盟する店舗の中でも売上は常にトップクラス。
 ブランドが広く知れ渡り浸透しているチェーン店ではない同店がなぜそこまで支持されているのか、一問一答形式でその本質に迫った。​

テイクアウトシステム選びのポイントは販促展開規模と柔軟性

―先ず多くのテイクアウトシステムがある中でEPARKテイクアウトを選び、利用し続けている理由を教えてください。

 コロナ禍ですぐにでも売上をあげる必要がありましたので既に多くの会員(※22020年取材時点で約3100万人)を抱えていることで効率的且つスピーディに販促展開ができる点は魅力的でした。それと柔軟な代金決済に対応している点です。当初は事前決済のみでしたが、営業担当の方から、別の取引先では店舗決済が50%を超えるところもあるという情報を聞き、店頭決済も取り入れた結果、すぐに注文数が伸び始めました。現在では店頭決済が約7割程を占め、興味深いことに内8割以上が店頭でクレジット決済をされています。事実その後リピートが増え続けており、事前決済と店頭決済を柔軟に併用出来ることは大きな利点だと感じています。一見、店舗側からすれば事前決済が効率的だと思いがちですが、顧客心理とユーザーファーストを追求し併用を可能にしたEPARKテイクアウトのシステムは深い意味で優れていると感じます。

―緊急事態宣言が明けた今、テイクアウトをどのように位置づけておられるのでしょうか 。

 2020年5月には店舗休業もあり8割がテイクアウトの売上でしたが、これが期せずして利益率の高いビジネスモデルを自然と創り上げたと感じています。これをどう今後に活かすかが重要です。緊急事態宣言が明け店内の来店客が戻ってくれば、テイクアウトの売上も下がり、施策も来店特化にシフトしていくというのが一般的な考え方かもしれません。しかし店内売上をコロナ前に戻す努力をしながらも、テイクアウトで出来上がった売上も下げ止める施策を講じることで店全体の売上や利益をコロナ前よりも底上げができるチャンスだと考えてます。今後もテイクアウトの需要喚起は続けながらハイブリットなビジネスモデルを構築していきたい。

―今後来店にシフトしていくであろうテイクアウト需要を下げ止めるにはどうすれば良いのでしょうか。

 テイクアウト需要が減る分でも本来​「店に行きたい・店に行っていた」もしくは​「行きたいんだけど、こういう状況だからテイク​アウトをしていた」寿司 あおいのブランドが浸透​している客層が来店にシフトしていくことは一定​規模は避けられないと思っています。​しかし、テイクアウトを下げ止める秘訣は、​「今まで店に来ていなかった・知らなかった」、​寿司 あおいのブランドがそこまで浸透していない​接点の少なかった客層をいかに残していくか。そのためにテイクアウトを利用され、接点のとれたお客様の真意を深く知り、分析しアプローチしていくことが重要だと考えています。 ​

今後更にテイクアウトのQSC可視化がブランド浸透の重要課題に

―当社の“QSC改善アンケートforテイクアウト”をご活用されているのはそういった想いや深い戦略があったからなのですね。

 テイクアウトや持ち帰りで接点のとれた新規層にいかにして「あおいのブランド」や使い方を理解してもらうかが非常に重要です。また、その客層を残していくためには、ネタの大きさや新鮮さだけでなく、あおいの店舗で出している空気感や提供の方法まで理解して頂くことが必要です。そのためにはイエス・ノーだけではなく、顧客の生の声を聞く必要があると思っています。現在アンケートに回答が来ている内容からも顧客の不満や、こちらが感じさせたいことが伝わっていること、いないことが手にとるようによく分かり助かっています。
 回転寿司のお寿司は流れてくる。スーパーのお寿司は冷蔵庫で保存しネタも冷たいがシャリも冷たい。我々は店内では食べたいものを目の前で握ってもらえ、できたてを食べられる。そこに圧倒的な差が生まれます。テイクアウトもそこにこだわり、受け取り時間に合わせて握っています。そこにこそ我々のブランド価値があると思っています。
 「あおいとしてのこだわりや想い」に気付いてもらえているのかということを把握するためにも来店用だけでなくテイクアウト専用のアンケートが必要だと思っています。
 また、QSC改善アンケートの良さとして感じていることは、都度聞きたいことが変わってきたり、深堀りしたいときに、いつでも自分たちで設問項目を自由に変えることが出来る点です。紙のアンケートや既存のシステムだとそういう訳にはなかなかいきませんので。

―テイクアウトで高い売上をあげる貴店が、常に心掛けていることは何でしょうか。​

 お客様の“真のニーズ”がどこにあるのか?“真の不満”はどこにあるのか?を日々探り、仮説を立てて改善しPDCAを回し続ける事です。 PDCAというのは回すスピードが重要で、1ヶ月に一回やるのか毎日仮説を構築し展開していくのとでは結果が全然違います。

​―高速でPDCAを回していくコツなどはありますか 。

 役割分担は意識しています。QSC(Quality・Service・Cleanliness)に関する初期設問の対応や改善活動に関しては現場の店長に任せ、その上位レイヤーにある根幹に関わる重要な部分には私も深く目を入れるようにしています。当店らしい使われ方がされているか、その判断や尺度はフリーコメントからしか感じられないと思っています。お客様の意見から推測して、不満点などを吸い上げ仮説を立てるのは私の役割となります。​
 その点でお客様の評価が定量的な数値の変化としてリアルタイムに把握できるだけでなく、定性的なコメントも数多く深い内容のものまで日々得られるQSC改善アンケートのシステムにはとても助かっています。​

―このコロナ禍、withコロナと言われる時代において、寿司業態だけにとどまらず外食産業はどのような発展の道が残されていると思われますか。

 このコロナ禍において最も端的且つ明確に可視化されたことがあります。それは「顧客にどれだけ支持されていたか」「お店のファン、ロイヤルカスタマーをどれだけ獲得できていたか」が緊急事態宣言下や宣言後に明確に出たように感じています。withコロナで勝ち残っていくための鍵は「来店客、テイクアウト客のファン化」に尽きるのではないかと感じています。
 それができない企業や店は淘汰され今後業種業態の垣根を超えた企業買収や再編の波に飲み込まれていきます。すごく強い動機でお店に行きたい!いいな!と思ってもらっているところだけが生き残っていく。ありきたりな所は有事においては選ばれない。​顧客のニーズや不満を常に把握し仮説を立て改善をし続けているブランドが、ファンを構築していると思います。点数で把握するだけでなく、定性的な意見が拾える形でないとファン構築は厳しい。そういうファンづくりをしている所がどんどん飲食店として強くなっていくと思いますし、今後更に明暗がはっきりとわかれてくると思っています。

―寿司 あおい様の今後の展開についてお聞かせ願えますか 。

 当初寿司あおいのビジネスモデルは店内飲食のみを中心とした住宅地立地型モデルのみでスタートしましたが、今災禍によりテイクアウト需要が増えたことで、期せずして店内飲食と、利益率の高いテイクアウトを兼ね備えたハイブリットモデルができあがりつつあります。今後はさらに両方に注力して、寿司 あおいのブランドを確立していきたいと考えております。​

―本日はありがとうございました。

対象商品:QSC改善アンケートforテイクアウト(EPARK順番待ちシステム オプション機能)

(※)QSC改善アンケート
飲食店の重要指標であるQSC(『Quality』『Service』『Cleanliness』)を来店客の評価により定量的に可視化。分析結果をシンプルなレポートに自動変換し、現場でのスピーディーな改善アクションとQSC品質向上に繋げていく飲食店特化型のアンケートシステム。シンプルな管理画面、権限別、階層別に現状と課題が一目でわかる店舗レポート、総合レポート、離脱率を意識した回答画面UIなど、飲食店に必要且つ重要な機能だけにフォーカスし開発。来店客からの本音が多数集まるとして、現場だけでなく経営マネジメント層に高く評価されている。テイクアウト向けにも対応。

https://epark.mbtn.jp/qsc/index.html

取材協力
株式会社ダイニングイノベーション
寿司 あおい
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-11-2
http://dining-innovation.com/ja/

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