顧客と従業員双方の満足度向上が理美容業界の持続的成長の鍵

~株式会社ビーフェイムがEPARK順番待ちシステムを10年以上使い続けるワケ~

1,000円カットでは物足りないが、5,000円では気軽に足を運べない

そんなユーザー心理をがっちり掴み、創業開始から10年以上もの間、ビジネスモデルやサービス形態を変えることなく事業を継続しているのが株式会社ビーフェイムである。「NON-S」ブランドで東東京を中心に6店舗のカット専門美容室を展開する。 同社の興代表に持続的成長の秘訣について、お話をお伺いすることができた。

カット専門店と聞くと、限られた時間で流れ作業をする1,000円10分といったイメージがあるが、同社はそれらとは一線を隠したサービス設計で顧客の支持を集めている。
売上の大半をリピーターによって支えられており、コロナ前と比較しても1割減と業界他社と比較しても高い安定度を保つ。
そんな同社の安定経営を支えるツールの1つとして、10年以上も使い続けているというEPARK順番待ちシステム。最近はコロナの影響もあり、順番待ち予約や日時指定予約を使った来店が業界でも一般的となりつつあるが、コロナ以前から長年使い続けている理由や背景、利点に感じている点などを教えて頂いた。

高いコストパフォーマンスを維持できるサービス設計と維持し続けられる仕組み

同社ではシャンプーはないものの、洗練された技術を持つ美容師がカットからスタイリングまでを顧客にマンツーマンで提供することで20分1,650円という驚きの価格帯を実現している。
美容師側としてもカラーやパーマ、シャンプーをなくすことで、カットのみに集中でき、美容師特有の悩みである手荒れがないなど、長く働き続けられる環境を構築する上ので利点も多い。
顧客との接客(カット)時間にも強いこだわりがある。

同社では一人あたりの接客時間を20分と厳密に設定し管理している。この20分という長さは美容師の経験則から来ているという。
10分では満足度の高いサービス提供が難しい反面、高い技術を持った美容師であれば20分で完成度の高いカットを提供することが可能である。
顧客満足度を維持しながらも技術レベルも一定以上のスキルが求められる最適な接客時間を試行錯誤した結果が20分であったという。

EPARK順番待ちシステムでは様々なデータを取得できることも利点としてあるが、実際データを見てみると各店ともに一人あたり接客時間が20分前後と正確に管理実行されているのが伺えた。
高い回転率を上げながらも顧客満足度を維持できるサービス設計を構築した上で、日々データを把握し改善しながら高い品質レベルを維持できている点も大手に負けず劣らず支持され続けている要因の1つとしてある。

EPARK導入の経緯と使い続けている理由

同社がEPARKを導入したのは10年以上前に遡る。興代表が一号店となる森下店で現場に立っていた頃、営業マンから紹介を受けたのがきっかけであった。
当時は紙で順番待ちを管理する方法をとっていたが営業マンの熱意やシステムの有効性を感じ導入を決めた。
導入当初はお客様や従業員にも不慣れな部分もありトラブルもあったが、その都度営業マンやサポートが対応にあたってくれたことで徐々に浸透していったという。

最近では、低価格な分、システム導入後はオンラインだけの問い合わせ対応や、トラブル発生時でも自社でWEBを調べながら解決しなければならないといった、サポート体制を効率化することで価格調整をしている製品やサービスが増えている一方で、EPARKは担当が異動により代わることはあっても必ず誰かがサポートについてくれている。また、事ある毎に新しい情報提供や提案をし続けてくれる点が他社との大きな違いだという。
導入前だけでなく、導入後も関係が築ける体制が今でも10年以上使い続けている理由として実は最も大きい要因であったと教えてくれた。

ベースとなるシステム面での改善スピードも早く、ユーザーの不満を高速で改良し、システムが徐々に良くなっていく過程をこの10年で目の当たりにしてきたという興代表。
そういった徹底的な顧客視点でのシステム開発体制も安心できた理由ではないかと改めて振り返ってくれた。
もちろん導入側となる店舗や本部としても運用やオペレーションをシステムにうまく最適化させていきながら効率化を図りつつ、クレームを減らしていった同社の現場でのアプローチがあったからこその成果といえる。

長く使えば使うほど資産価値が高まっていく

導入初期はEPARKのマイショップ会員数もそこまで急激に増えることはなかったが、使い始めて2~3年後から一気に会員登録者数が伸びていったという。
データを見ると今でも毎月コンスタントに各店のマイショップ会員が増え続けている。約50%が流入会員、つまり他の飲食チェーン店などでEPARK会員登録したユーザーが同店の存在をEPARKアプリなどで認知して会員登録を行うというパターンもあるが、ベースは店舗での新規会員登録である。店内で整理券を発券して順番を待っている間にEPARKで予約して来店した方がその時間帯では順番が優先されるというのがユーザー側で認知されると、次回以降は高い確率で会員登録後に予約して来店をするのだという。会員数が各店で一定規模を超えてくるとそういった他の来店客への波及効果もあり新規会員登録者数の増加確度が急に変化する傾向にある。
現在では各店で蓄積されマイショップ会員DBは店舗として欠かせないCRM基盤であり、企業としての資産となっている。顧客と直接コンタクトを取りづらいコロナ禍でもリピーター販促DM等CRM活動にも活用されている。

データをリアルタイムで把握し、経営改善や従業員のモチベーションアップにも活用

EPARKでは日々の受付数や案内数、接客時間など幅広いデータを本部、店舗側でリアルタイムに確認することができるが、経営層においては、曜日や天候、時間帯毎の各店での受付数や平均接客時間の推移などを見つつ、顧客の来店状況や回転率など経営指標とも照らし合わせながら瞬時に各店に指示を飛ばすなど経営改善に活かしている。
各店でも店長が自店舗だけでなく他店のデータを常時閲覧できるようにすることで、他店の動向も把握でき、刺激やモチベーションアップに繋がっている。

自社アプリとEPARKとの連携で相乗効果

現在は同社の専用アプリと順番待ちシステムを連携することでアプリ上でシームレスに順番待ち予約が行えるなど、更なるリピート率UPとユーザーの囲い込み施策を進めている。そういった連携の柔軟性やスピード感なども飲食店との連携で事例や顧客の多いEPARKを使い続ける上での利点でもあった。

結局は人であり、何を優先させるかが持続的成長を実現させていくために重要

興代表の話を一通りお伺いし、一つ感じたことがある。優先すべきは拡大よりも満足である。それは顧客にとっての満足だけではない、従業員のモチベーションや満足度を担保し続けていくことが持続的な成長を実現していくためには重要であると捉えた。
興代表は多店舗展開にはそこまで重要性は感じてはいないという。それよりも顧客満足度を維持向上させ常に選ばれ続けるブランド、その地域で支持され続ける店であり続けることにこそ価値がある。
美容室で受けられる高いサービスレベルのカット技術を持った人材は貴重であり限られている。急激な多店舗展開によってサービス品質が劣化すればそれはブランド全体の価値を下げてしまうことにも繋がる。
満足できるサービスレベルを提供できる美容師の確保が新規出店の必須条件となるのだという。

これは美容師出身の代表だからこそ分かったことであるというが、美容室に行けば5,000~6,000円かかる品質のカットを1,650円で受けられた時のお客様の驚きや満足の表情を目の前で感じられることが何よりも働き続ける上でモチベーションに繋がるという。美容室ではカットだけ、シャンプーだけ、ブローだけと分業化されているが、ここではお客様とマンツーマンで向き合い、感動を味わえる喜びがある。従業員にとってもここで働く価値や満足感を持ち続けられるような事業展開を今後も大切にしていきたいと語ってくれた。
来店客の殆どがリピーターで構成され、そこで働く美容師がいるからそこに来店する。
大手が同価格帯のビジネスモデルに参入して数年経った今でも変わらず事業を継続できている要因が代表の話から何となく理解することができた。

取材協力
株式会社ビーフェイム
美容師が始めたカット専門美容室Nons (ノンズ)
https://www.nons-net.com/