丸源ラーメンが成長し続けていくために欠かせないピース

DXで実現する「お待たせしない店づくり」の本質とは?

丸源ラーメン

圧倒的な存在感と安定感を兼ね備えた老舗ブランド

外食産業全体では、コロナ前の状態に戻るまでは道半ばという状況にある中、圧倒的な存在感を示すラーメンチェーンがある。

ラーメン画像

売上髙1,000億(※1)を突破し快進撃を続ける株式会社物語コーポレーションの成長を牽引する主力ブランドの一つ「丸源ラーメン」である。
ブランド展開20周年を記念し制作されたテレビCM「感動肉そば!」でおなじみの「熟成醤油ラーメン 肉そば」を看板商品に、全国に183店舗を展開(2022年8月末現在)する。
同社ラーメン業態の既存店売上前年比(※2)は2022年6月度通期106.3%(全社107.1%)。直近でも2022年6月130.4%(全社134.9%)、7月132%(全社120.9%)と依然伸び続けており、7月は2019年対比でも122.6%とコロナ前を大きく上回る。

課題に対し満遍なく施策を継続し続けたことが成功要因

快進撃の理由を丸源ブランドの現場を取り仕切る事業推進グループ髙木祥志統括マネジャーに伺った所、社としての強みとなる「接客力」をベースに、主に3つの要因を他社との差別化という観点で挙げて頂いた。

同社広報・IR室 堤良輔統括マネジャー

1,「商品力」-熟成醤油ラーメン肉そばの専門性とコストパフォーマンスの高さ
2,「店舗規模」-ファミリー層を取り込める箱の大きさと席レイアウト
3,「認知度」-CM効果などによる消費者のブランド認知度アップ

更に同社広報・IR室 堤良輔統括マネジャーによると、敢えて端的に挙げるとすれば上記3点に集約されるものの、様々な課題に対する施策を同時にやり続けてこられた点が他社との差別化となり、ブランドとしての成長に繋がったと分析する。

例えば、ハード面ではオープンキッチン化することで活気ある店内を演出したり、ソフト面でも開店時間の前倒しや期間限定メニューの投入、ピーク時間帯での回転率向上など、ありとあらゆる課題に対して同時進行で施策展開し続けた結果、外食に消費者が戻りつつある過程において、他社との差分として明確に数字にあらわれてきたということである。

待ちに対する課題解決の切り札としてEPARKを導入

同社が右肩上がりの成長を目指す中で、業態価値向上の重点施策の1つが、DX推進による「お客様をお待たせしない店づくり」(※3)である。特に「入店時の待ち」に対する課題解決は急務であったという髙木統括マネジャー。

CMの露出効果もあり集客が伸びる中、いかにしてピーク時間帯における待ちの不満を解消し顧客満足度を向上させつつ、回転率を高めていけるかが重要課題であった。

順番待ち受付システム(自動発券機)

EPARK導入前、ウェイティングボード(紙)による順番待ち管理をしていた頃は、名前の書き間違いや読み違いによるトラブル、新しいパートナー(※4)や外国籍従業員によるオペレーションの平準化も課題としてあった。
また、待合いスペースも広くはない中で密な状態でお待たせしてしまう環境を早急に改善する必要もあった。

そこで目を付けたのが同社の主力ブランド「焼肉きんぐ」で既に導入され、効果が可視化されていた順番待ち受付システム(自動発券機)である。
ただ、実際に導入に至るまでは数ヶ月間、数社の機器を機能や操作性など様々な角度でフラットに検証しながら、比較検討を重ねたという。

決め手は画面の見やすさ、操作性と安定稼働実績

比較検討した結果、最終的にEPARKを採用した理由は主に3点である。

1, 主力ブランドで既に安定稼働とサポート品質が実証済みであった

既に焼肉きんぐ(多店舗展開業態)で故障発生率の少なさやトラブル発生時の対応品質等、導入してからでないと分からない部分を実績として確認できていた。

2, 画面や文字の大きさ(操作性)

実際に利用するお客様の利便性、操作性を最優先で考慮した結果、他社と比較した中では最も画面が大きく見やすかった。

3, プラットフォームとしての会員基盤

EPARKには既に4,000万人以上の会員基盤と他社にないメディアとしての価値があり、他ブランドからの流入効果も期待できた。

最適化が今後の課題でありDXの本質

導入後間もないながら既にお客様にも浸透しているEPARKの順番待ちシステムであるが、今後の課題は、お客様の動きによって店舗オペレーションと機器の設定を最適化していく点にある。

運用しながら、電話での呼出のタイミングやWEBでの順番待ち申込数をエリア単位、店舗単位で最適解を探っていきたいという髙木統括マネジャー。

実はこの最適化へのアプローチこそ、既にEPARKが導入されている焼肉きんぐにおいて、店長とエリアマネジャー、EPARK担当者とがタッグを組み、日々改善に向けた試行錯誤を重ねながら回転率を最大化させてきた取り組みである。

省力化・省人化が喫緊の課題とされる外食産業全体のソリューションとして「DX」というワードだけが独り歩きする中、DXの本質は業務効率を実現するまでの運用現場における最適化への取り組み自体にあり、人的負荷をIT機器に置き換えるだけでは目的はなし得ない。

導入されたシステムを現場のオペレーションとフィットさせていく過程を踏むことでDX効果をより享受することができるのである。

更に高木統括マネジャー曰く、店内オペレーションがどこまでDX化されたとしても人的資産で対応する部分とIT化する部分は明確に切り分け、全てを自動化させることだけはしないという。
DXの目的は人的資産で対応する時間の確保であり、深さ(品質)を追求することのみにあるとした、まさに接客を最大の強みとする同社の強い意志を感じさせる拘りであった。

DXの本質を現場責任者クラスが把握し、自らの言葉で表現できている点が同社の組織としての層の分厚さであり、強さの根底にあるのではないかとも感じ取ることができた。
今後の丸源ラーメン様の飛躍を大いに期待したい。

参照引用
株式会社物語コーポレーションコーポレートサイト参照
(※1)2022年6月期決算資料P26「トピックス」グループ店舗売上高参照
(※2)株式会社物語コーポレーション公式HP月次データ参照
(※3)2022年6月期決算資料P34「ラーメン部門主な取り組み」参照
(※4)新しく配置されたアルバイトの意。同社では従業員を「パートナー」と呼ぶ

取材協力
株式会社物語コーポレーション
〒440-0831 愛知県豊橋市西岩田5-7-11
株式会社物語コーポレーション

取材対象ブランド
丸源ラーメン
https://www.syodai-marugen.jp/