“夜パフェ”が一過性のブームで終わらない理由
常時アップデートと進化し続ける強さ
「夜パフェ専門店Parfaiteria beL(パフェテリア ベル)渋谷」
-株式会社GAKU-
目次
渋谷駅南口から道玄坂方面へ徒歩4分程の場所に東京の“夜パフェ”ブームの火付け役として2017年10月にオープンした「夜パフェ専門店Parfaiteria beL(パフェテリア ベル)渋谷」がある。経営するのは飲食店の総合プロデュースを手掛ける株式会社GAKU(代表取締役 橋本 学)。ヒットメーカーとして、最近ではショートケーキ缶(登録商標)をプロデュースしたことでも有名な企業である。
同社の強みは、独創的なアイデアと発想力で市場を創造するだけに留まらず、戦略的なマーケティングと店舗開発により、一過性のブームではなく“文化”として浸透し根付かせていく点にある。
夜パフェを提供する競合店も多い激戦地渋谷でオープン5年を経過した今も尚、行列の絶えない夜パフェ専門店Parfaiteria beL(パフェテリア ベル)渋谷。現場を取り仕切る佐藤店長に話を伺うことができた。
検索トレンドから見る “夜パフェ”市場の成長曲線
“夜パフェ”の起源は、札幌・すすきのから始まった、お酒を飲んだ後のシメとしてパフェを食べる“シメパフェ(※)文化”にある。2015年7月に夜パフェ発祥の店となる「夜パフェ専門店Parfaiteria PaL」が札幌にオープン。以降、東京、福岡、大阪と主要都市に同社の夜パフェ専門店(※)が出店すると同時にメディアでも多く取り上げられ、夜パフェ文化が徐々に全国にも波及していった。
以下はGoogleトレンド(※)を用いて「シメパフェ」「夜パフェ」の2つのキーワードにおける人気度の動向を調査したグラフに株式会社GAKUが手掛けた夜パフェ専門店の出店時期を重ねたものである。
特徴的なのは2020年4月以降、緊急事態宣言による各種制限の影響もあり一時的にトレンドが下降する時期はあったものの、出店を挟みながら徐々に回復し、2022年以降は急激な伸びを見せている。検索市場から見ても「夜パフェ」が“文化”として定着しつつあることがよく分かる。
専門スキルを磨いたパティシエによる芸術作品
パフェには全て北海道産の食材が使用され、各店に在籍するパティシエが、パーツ1点1点までを手作りで提供している。味も日々進化し、大人が好む工夫が施されている。それによって客層も女性のみながず男性にも広がりを見せており、ファン層の裾野は拡大傾向にあるという。
その芸術的なクオリティの高さと味や素材への強いこだわりが、長期に渡り顧客の心を掴んで離さない大きな理由の1つとなっている。
高頻度且つ独創的な新製品による“飽きさせない”工夫
ほぼ毎月、各店舗から様々なコンセプトの新商品がリリースされる。どれも旬の素材に拘り手の込んだ装飾が施された逸品ばかりである。
常に顧客に新しい驚きと発見を与え続ける同社独自の仕掛けがSNSでの反響を増幅させ、持続的な波及効果を生んでいる。
「広告費は一切使っていない」という佐藤店長の言葉通り、来店したお客様が自らのSNSで情報を発信することが口コミや宣伝となり、それを見た新規客がまた別の新規客を引き寄せるという理想の集客連鎖モデルが形成されている。
接客を重要視する企業風土
繁盛店であれば来店客の多さのあまり、接客品質に向ける意識も低くなりがちな店も多いのではないかと思われるが、同社は繁盛店であるからこそ、特に力を入れるべき領域であると捉えている。実際に定期的な顧客満足度調査を各店舗で実施するなど接客品質改善のためには積極的な投資も厭わない企業風土である。
EPARKシステムの採用はそういった顧客に対する接客やサービス品質改善の一手として上層部から提案があった事がきっかけであった。
EPARKシステムへの切り替えにより顧客の利便性向上とCRMを強化
常時混み合う店舗ということもあり、既に他社の順番待ちシステムを導入していた同店であったが、コストが増えたとしても高機能なシステムに切り替えることにより、顧客の利便性向上を図ることのほうが重要であったという佐藤店長。
更に来店頻度の把握などCRM強化が可能となることで顧客理解が深まり、リピーターを中心とした来店客への接客品質向上にも効果的ではないかという狙いもあった。
EPARKシステム導入後は利便性向上も図れた上に、スムースな順番待ち受付管理を行うことができるようになったという。
同店はビルの3階にあり行列が階段や他の店の前にまで伸びてしまうといった課題もあったが、呼び出しを自動化することで受付後に列を一度離れて待つという環境も整備することができた。
同社の最大の強みは、社長以下上層部を中心に社員全員が高いアンテナを張り巡らし、自らをアップデートし続けていることであり、その結果が人材、店舗、メニュー、接客、システムを常に進化させ、ブランド全体の進化へと繋がっているのである。
ブームを一過性ではなく、文化として浸透し根付かせていくためのヒントがそこ集約されているように感じた。
日本文化の象徴として海外に発信できるコンテンツとしても期待
水際対策も緩和される中、渋谷は国内有数の観光スポットとしてインバウンド需要の回復も見込まれている。
“夜パフェ”は日本特有のカルチャーとして海外にも発信していくことが可能なキラーコンテンツとしても期待できるのではないだろうか。今後も進化し続けるであろう同社の“夜パフェ”から目が離せない。
【用語解説】
※「札幌シメパフェ」はクリプトン・フューチャー・メディア株式会社による登録商標(登録5978224)。
参照:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
※「夜パフェ専門店」は株式会社GAKUによる登録商標(登録6073979)。
参照:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
※Googleトレンドによる「人気度の動向」とは
特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したもの。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50 の場合は人気度が半分であることを示している。
参照:https://trends.google.co.jp/trends/?geo=JP
※Google月間平均検索数(2022年11月17日調査時点)
「夜パフェ」40,500回(前年比814%)
「シメパフェ」9,900回(前年比236%)
参照:Google広告キーワードプランナー
【取材協力】
株式会社GAKU
https://risotteria-gaku.net/
夜パフェ専門店
Parfaiteria beL渋谷
東京都渋谷区道玄坂1丁目7-10 新大宗渋谷道玄坂1丁目ビル 3F
https://risotteria-gaku.net/parfait