伝説の繁盛店が取り組む接客品質の均一化

自社競合はQSCの均一化で回避できる!
~株式会社味ん味ん~

 「神奈川県相模原市を中心に、神奈川県内や多摩地区で21店舗を展開する七輪炭火焼肉店「味ん味ん」は繁盛店が利用するEPARK加盟店の中でも、常に受付数で圧倒的上位をキープする超人気ブランド。2020年順番待ちシステムオプション機能「QSC改善アンケート」による来店客約1万名へのアンケート調査によれば、約30%が月1回以上来店し(3ヶ月に一回以上、つまり年に4回以上来店すると回答した層を合わせると実に75%と)地元客にこよなく愛され、ファン化を実現させている「伝説の焼肉店」として神奈川県はおろか関東全域にその名を轟かせる。コロナ禍においても根強いファンが連日のように同店を訪れ、アンケートのフリー回答コメントには従業員への労いや感謝の言葉が溢れる。まさに常連客や地域に愛され支えられているのが伺える。今回は、同社を創業時から支える久保薗取締役にそのロイヤルカスタマー育成術と繁盛店として長年地元に愛され続ける秘訣についてお伺いした。

地域で長年愛され続けている理由

―率直に御社が店舗運営において心がけていること、強いてはお客様に長年支持され続けている理由は何だと思われますか。

 特別な取り組みをしているというわけではなく、焼肉店としてのあるべき姿、基本を徹底しているに過ぎません。月並みではありますが、味、品質、鮮度をどんな時であろうと一定に保つことを創業当初から最重要視しています。いつ来ても味にブレがないということがお客様への安心感につながっているのではないでしょうか。鮮度を一定に保つため自社工場から配送できる地域に限定した店舗展開をし、全店舗間でリアルタイムに部位毎の販売状況を把握しながら店舗間で在庫調整を図ることで廃棄ロスを極限まで抑えています。 またこれも創業当初からこだわっている部分ではありますが、掃除の徹底です。店舗を巡回した際にチェックする上で清潔面は特に重点的に見ています。

―なるほど。あくまでも基本を忠実に徹底し続けることが結果として、鮮度、品質の高い上質な肉をリーズナブルに提供し続けられている所以であり、それがファン化につながっているということですね。

 しかし、昨今多店舗展開する大手資本のチェーン店も肉質にはこだわってきており、商品力にまだ差があるとは言え、それだけですと今後中長期で支持され続けるというのには限界もあると危機感は常に持っています。

お客様からの定性的なQSCの評価が可視化されるメリット

​―実はアンケート結果を見ると、貴店は接客面に対しても他ブランドと比較してもかなり良い評価を得ていると感じるのですが、従業員に特別な教育を実施されているのでしょうか。

 特別な教育プログラムはないですが、ここ数年接客品質の改善には特に注力しています。創業当初は町のホルモン屋からスタートしたこともあり、鮮度、品質にはこだわる一方で接客に関しては、無愛想でぶっきらぼうな社員も多く、正直申し上げて商品の品質を追求してさえいれば大丈夫だろう。という甘い考えもどこかで持っていました。しかし店舗を拡大し、お客様の目も舌もこえていくにつれ、そうは言ってはいられなくなりました。味や鮮度を高いレベルで維持しながら、接客面での品質を改善していくことが、店舗を拡大しながらもブランドとして支持され続けていくには必要な部分であるとわかりました。味や鮮度同様、接客品質に関しても、全店均一化を図るということを現在こころがけています。

―マネジメントする上で感覚値に陥り易い接客品質を均一化するというのはとても難しいように感じますが、定性的な品質を可視化するためにどういった対策を取られたのでしょうか。

 これまではこれといったアルバイト向けのマニュアルもなく、店長の裁量やスキルにより定性的な感覚値で教育してきたことで、店舗での接客品質にはかなりばらつきが見られていました。 そこでNPSを採り入れたQSC改善アンケート(※)を活用し、現状を定量的に可視化しようと考えました。 評価の高い店長を異動させると、異動先の店舗では売上やお客様からの反応は良くなるものの、その場しのぎであり根本的な解決にはなりません。再現性が重要なのです。 同ツールではお客様の評価をQSCそれぞれの領域で点数として定量的に可視化できるだけでなく、従業員が気づかなかった問題点や不具合へのご指摘やご要望など、定性的なコメントがリアルタイムで入手できる。本部ではお客様のコメントを定期的に店舗へ共有し課題の早期発見としたり、アルバイトへのお褒めの言葉をモチベーションアップに役立てたりしています。

見落としがであった店舗内の改善箇所が浮き彫りに

​―お客様のコメントで最近お感じになることなどはありますか。

 直近ではコロナの影響でお客様が店内の換気や清潔面、消毒などの行為に対してとても敏感且つ、詳しくなってきているという点です。店では既に徹底した感染予防策をとっていますが、他店とも比較されることも多くなるという面で、更に目配りを徹底していかなければならないと強く感じています。 そういったお客様の心理の変化や、気にされるポイントなどもリアルタイムに把握し瞬時に対応できる点が、QSC改善アンケートの良い部分だと感じています。

―繰り返しになりますが、近年急成長と多店舗展開を図る過程において自社競合などで苦戦を強いられるチェーン店が散見される中、貴店が特定の地域に集中的に出店しているにも関わらず、全店で成功を収められている理由は何だと思われますか。

 「基本の忠実なまでの徹底」と味、接客、清潔面(QSC)に共通した「サービス品質の均一化」に真面目に地道に取り組むこと。そこに尽きると考えています。 新店舗を出店する際の大前提は当社の味と鮮度が提供できるかです。昨今コロナの影響もあり同業他社や他業種撤退による好条件での物件照会件数が例年以上に増えていますが、自社工場の配送網等を考慮し安易に他地域に出店拡大するという選択肢はとっておりません。また接客品質の均一化に現在は注力していますので、QSC改善アンケートを活用しながら定量的に店舗間の接客レベルのチェックしつつ、品質の維持向上を図っていくことを今は優先したいと考えています。

―確かに。店舗を拡大するときは味、鮮度、接客品質の3点セットが同レベルで提供できるという前提が担保できなければそのブランドはブランド価値をお客様に提供できないということですね。返ってそれを担保せずに新規出店と拡大を図ることでこれまで築き上げたブランドを一瞬にして壊してしまうことにもつながるという教訓を同時に教えて頂いたように感じます。

サービス品質の均一化という課題において、どういったツールを活用し定点観測しながら定量的に改善を図っていくのかという点も現在のような変化の激しい環境下において持続的成長を実現していくためには重要な選択肢となり得るということですね。

本日はご多忙な中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。

対象商品:QSC改善アンケート(EPARK順番待ちシステム オプション機能)

(※)QSC改善アンケート
飲食店の重要指標であるQSC(『Quality』『Service』『Cleanliness』)を来店客の評価により定量的に可視化。分析結果をシンプルなレポートに自動変換し、現場でのスピーディーな改善アクションとQSC品質向上に繋げていく飲食店特化型のアンケートシステム。シンプルな管理画面、権限別、階層別に現状と課題が一目でわかる店舗レポート、総合レポート、離脱率を意識した回答画面UIなど、飲食店に必要且つ重要な機能だけにフォーカスし開発。来店客からの本音が多数集まるとして、現場だけでなく経営マネジメント層に高く評価されている。テイクアウト向けにも対応。

https://epark.mbtn.jp/qsc/index.html

取材協力
株式会社 味ん味ん
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